こんにちは、ハタケ とまと です。
面接はコミュニケーションである、とはよく聞くことですが、
コミュニケーションといっても幅が広く、具体的に何のことを指しているのか
イメージが湧きづらいと思います。
そこで、今回は面接で必要なコミュニケーション力を
〈会話力〉と表現し、会話力を構成するいくつかの要素に分解して
解説を進めていきます。
会話力の一つ一つの要素はとりもなおさず〈面接官の着眼点〉となります。
会話力について学ぶことで、面接に対する解像度が上がり、
対策を有意義に進めていただくことを目的としています。
いつもの通り、まずは今回の記事の想定読者像をお伝えします。
・これから公務員試験を受ける方
・公務員試験の受験を検討している方
・受験中で面接試験を控えている方
・面接で不合格が続いて悩んでいる方
もし、当てはまる項目がなければ、この記事は参考にならないかもしれません。
ブラウザバックして、他の記事を参考にしてみてください。
反対に、一つでも当てはまる項目が合った方は
是非最後まで読み進めてください。
最終合格を勝ち取るために。
それでは参ります!
0.会話力の全体像
会話力は、下図のとおり大きく5つの要素から構成されます。
今回はこの中でも特に重要な〈理解力〉〈言語化力〉〈説明力〉に絞って解説を進めます。
それでは行きましょう!
1.理解力
ここで言う理解力とは、
大きく〈傾聴力〉と〈共感力〉に分けられます。
そして、理解する対象は〈質問の意図〉と〈面接官の立場〉です。
まずは、それぞれで何が求められるかを見ていきましょう。
1-1.傾聴力
傾聴力とは、単に相手の話を聞く、ということだけではありません。
〈聞く姿勢〉や〈聞き入れる姿勢〉を含みます。
面接では話す内容や言葉遣いに注意が向きがちですが、
面接官はあなたの聞く態度まで見ています。
どういうことかと言うと、
例えば、面接官は質問を投げかけているときに、
目を見たり、頷いたりする挙動にも注目している。
傾聴力を示すポイントは、
面接官が話している間は、
目を見て、軽く頷くことです。
そして、面接官が話し終わったら(質問を言い終わったら)、
「はい」と軽く返事をしましょう。
この返事は「質問を受け取りましたよ」という、
面接官に対する〈合図〉になります。
返事もせずにいきなり答え始めるよりも、印象が良くなります。
また、質問が重ねられていく中で、
面接官がある回答と、別の回答の間に
〈疑問〉や〈矛盾(違和感)〉を感じることがあります。
その場合、面接官はストレートにその矛盾を指摘したり、
疑問に感じたことを質問として聞いてくる。
その際も、しっかりと目を見て、真剣に話を聞いてください。
決して不満そうな表情を見せたり、話を遮ることのないように。
1-2.共感力
共感力とは、面接官の目線や考えを理解するということです。
志望動機は面接官の共感を得られるか?
自己PRで話す強みは公務員に求められるものか?
やりたい仕事はその志望先にとって需要のあるものか?
このような視点で、自分の回答を見つめなおしてください。
言い換えれば、あなた自身が
10年、20年と将来にわたって一緒に働く仲間を見極める立場に立つことです。
一朝一夕で身につく視点ではありませんが、
少しづつでも理解していくことによって、
面接で〈評価される回答〉につなげることができるようになる。
(面接官の視点については、別の記事で詳しく書きます)
1-3.理解することは会話のファーストステップ
冒頭にお伝えした通り、理解力をもって理解する対象は、
〈質問の意図〉と〈面接官の立場〉です。
質問と〈ズレた回答〉をしてしまうことを防ぐ必要があります。
ズレた回答は評価の対象にならないばかりか、
コミュニケーション力を疑われてしまうから。
ただし、一つのミスで不合格になることはありません。
なぜなら、面接官も鬼ではないので、
言葉を変えてもう一度質問してくれたり、
深掘り質問を投げかけることで、求める答えを得ようとするからです。
面接官自身も、その人を理解したうえで採用したいと思っていますし、
受験者が多少緊張しているであろうことも考慮してくれます。
しかし、ズレた回答が3回を超えてくると、印象がダダ下がりします。
仮に、回答した内容は素晴らしくとも、です。
厳密に、3回以上が必ずアウトになるとも言い切れませんが、
単純にコミュニケーションとして、短い会話の中で3回もズレた回答があれば、
日常生活であったとしても違和感を持ちますよね。
つまり、面接官だからこそのラインと言うよりは〈一般的な感覚〉としての話です。
20分前後の面接時間の中で際のキャッチボールが3回以上、うまくいかなかったら、
部下とするには不安になりますし、
市民と接するときに問題が生じないか心配になりますよね。
そして、もう一つの理解する対象が面接官の立場。
面接官の立場としては、〈採用ミス〉を起こしたくない。
その上で、出来るだけ〈優秀な人〉や〈活躍できる人〉を見極めたい。
というものです。シンプルですよね。
(この辺りも奥が深いので、別の記事で紹介します)
2.言語化力
会話力を構成する2つ目の要素が、思っていることや考えていることを
言葉にするための〈言語化力〉となります。
こちらもさらに2つの要素に分解することができます。
それが〈語彙力〉と〈人間性〉です。
それぞれ詳しく説明します。
2-1.語彙力
語彙力とは、どれだけ多くの言葉を知っているか、
どれだけ多くの言葉を使いこなせるか、というものです。
ボキャブラリーなんて言ったりもしますよね。
まあ、日常会話ができていれば最低限問題はありませんが、
面接という場においてはそれだけでは不足します。
例えば、自己PRで強みを説明するシーンを思い浮かべてみてください。
〇〇力だとか、〇〇することができます!
とアピールすることが多いと思いますが、
語彙力が貧弱だと、この〇〇に相当する言葉がありきたりになったり、
持っている強みと使っている言葉がマッチングしていないことがよく起こります。
こうなってくると、話している内容と言葉が合っていないので、
面接官は〈違和感(矛盾)〉を感じ、せっかくのPRがPRにならない。
計算問題で答えが合っていても、計算過程が間違っているような状態です。
採点側としては素直にマルを付けられない。
つまり〈ノーカウント〉回答となります。
普段から読書などで活字に触れていれば、問題ないことがほとんどですが、
そうした習慣がないと黄色信号。
「いやいや、ネットニュースやテレビのニュース見てるし!」
とツッコミを入れたくなるかもしれませんが、
ニュースで使われる言葉は比較的、平易なものが多い。
つまり、ありふれている。
もちろん、ありふれていること自体、裏を返せば、
〈わかりやすい〉ということにもなりますが、
その半面として言葉の質量が軽くなりがちです。
例えば、転職理由を説明するときに、
「だから、転職しようと思いました」と言うのと、
「そのため、転職を決断しました」と言うのでは、
どちらの言葉に〈重み〉を感じるでしょうか。
両者が意味するところは全く同じですが、
前者の方は、どちらかと言えば〈感想〉や〈衝動的〉と言った印象を受けます。
一方、後者の方は〈熟慮〉や〈覚悟〉を感じられる。
なぜ、同じ意味なのに受ける印象が異なるのでしょうか?
一言で言えば〈ニュアンス〉です。
例えば、”決断”という言葉は、「決めて」「断つ」という漢字から構成されます。
何かを決めるためには、いくつかある選択肢を比較検討しなければならない。
ここから〈熟慮〉という印象が生まれる。
そして「断つ」とは、選択しなかった方を捨てるということです。
言うに及ばず、転職とは人生の中でも比較的大きな選択です。
その選択肢の一部を捨てる(現職を捨てる)ということには〈勇気〉が伴う。
ここから、〈覚悟〉という印象が生まれます。
いかがでしょうか?
このように、たった数文字の言葉の違いで面接官に与える印象は大きく変わる。
面接は20分前後の短期決戦
短い時間で与える印象値を上げるために、
”ここぞ”と言う時には〈重み〉のある言葉を使う。
だからこそ〈語彙力〉は面接における必須スキル。
「語彙力の重要度は理解したけど、自信がない場合はどうしたらいいの?」
と言う方におススメの方法があります。
それは、面接や転職に関する本を参考にすることです。
(読んで理解する必要はない)
そうした本には面接での回答の例文が多く掲載されていますので、
自分の感性にフィットする言葉を抜き出して使いましょう。
ここで注意していただきたいのは、
”例文をそのまま使わない”ということです。
抜き出すのはあくまで”単語”レベルに留める。
使っても”フレーズ”まで。
フレーズとは一つのセンテンス(句読点まで)の中にある
いくつかの単語のまとまりです。
センテンスごと抜き出して使ってしまうと、
〈どこかで聞いた感〉が出てきてしまい、かえって印象値が下がります。
抜き出すのは単語かフレーズのレベルに留めてください。
ラクして作った回答にもまた、〈重み〉がないですから。
2-2.人間性
ここで言う〈人間性〉とは、あなた自身の〈パーソナリティ〉のことです。
ここは概念として理解していただきたいので、
パーソナリティについてもう少し詳しく説明します。
面接でよく聞かれる”短所”や”長所”、”性格”といった、
あなた個人の様々な性質を包含するものがパーソナリティと考えてください。
誤解していただきたくないのですが、ここで言うパーソナリティとは
日常会話で使われる「人間性がいい」とか「人間性が悪い」といった、
良い悪いの〈評価尺度〉ではありません。
〈事実〉としてあなたが持っている考え方や行動の特性がパーソナリティとなります。
ですから、仮にあなたのパーソナリティに客観的に好ましくない点が
含まれていたとしても直ちに問題になることはありません。
そうしたネガティブな面も含めて、自分で理解しておくことが、
面接の回答の〈バックグラウンド〉となります。
例えば、私のパーソナリティに関して説明すると、次のようになります。
「目標や目的を持つことで、モチベーションが上がり行動的になります。また、どんなに小さな仕事でも自分なりの”付加価値”を付与したいと考えています。なので、自分で立てた目標には意欲的に取り組み、さらに付加価値を高めることができるので、生産性が非常に高まります。」
これは、対外的に好まれる面を取り出した状態ですが、
実際は対外的に好まれない面を取り出すこともできます。
例えば、こんな風に。
「人から支持や命令を受けることが苦手で、何事も自分の意志で選択したい、というちょっとめんどくさい人間です」
これなんか対外的には好まれませんが、私のパーソナリティの一面です。
つまり、第三者から見て良いか悪いかはいったん置いておいて、
自分自身の〈行動特性〉や〈思考特性〉を表わしたものがパーソナリティなんですね。
「それと面接に何の関係があるの?」
と、心の中でツッコんでいただいたあなた、ありがとうございます。
実は、面接において自分自身のパーソナリティを理解していることは
大きなアドバンテージになります。
パーソナリティを理解していれば、面接の場において、
一つ一つ回答に〈個性〉を与えることができる。
と言うのも、面接官は受験者の個性を把握したい、と考えています。
仮に、どんな個性の持ち主かもわからない人を採用した場合、
実際に働き始めたときに予期しないトラブルが生じてしまうかもしれない、
と不安になるからです。
ネガティブな面を取り立てて伝える必要もありませんが、
受験者側から積極的に一定の〈自己開示〉をすることで、
面接官があなたの個性を理解することにつながり、
安心して採用することができるようになる。
つまり、職員としての活躍の期待だけでなく、
パーソナリティを開示してはじめて面接官は納得して採用を判断できます。
いくらスキルがあっても協調性がなくて、
周りに迷惑をかけて組織としての生産性が下がれば
元も子もないですからね。
というわけで、自分のパーソナリティへの理解を深め、
それを〈語彙力〉を使って言語化することができると、
面接官に安心感を与えられるという話です。
3.説明力
さて、これまで5000文字程度を使って説明してきた
〈理解力〉〈言語化力〉の2つの要素は会話力の基本と捉えてください。
面接の中で、人は相手の質問を〈理解〉したうえで、
自分の考えを回答として〈言語化〉しています。
一方、この章で解説する説明力とは、
自分の回答を分かりやすく相手に伝えることを言います。
説明力は〈論理性〉と〈表現力〉の2つの要素から構成されますので、
コチラも順番に解説します。
3-1.論理性
論理性とは、読んで字のごとく、自分の考えや経験を
筋道を立てて説明する際に必要になります。
簡単に言うと〈話す順番〉のことです。
なんのこっちゃという話ですが、
たまに質問に対して回答になっていない回答をしてしまう受験者や
話がだらだらと続いて、結論(回答)が面接官に伝わらないことがあります。
つまり、結論を結論として伝える必要があります。
当たり前のことですが、意外にも結論が伝わっていない回答は多いです。
そうした失敗を防ぐためには”結論から話す”ことが最も有効です。
例えば、「志望動機は何ですか?」と聞かれたら、
まず、「〇〇だからです」と端的に答えましょう。
ここで陥りがちなのが、
「他にも言いたいことがある」
「何から話せばいいかわからない」
「結論以外にもその過程も自分としては大切だ」
と考えて、結論から話さなかったり、
結論ではない、そこに至るプロセスから話し始めてしまう人がいます。
ここで、イメージしていただきたいのですが、
ジャケットを買いに、アパレル屋さんに行ったとします。
あなたが「ジャケットはどこにありますか?」と、店員さんに尋ねたところ、
『あ、ちょうど昨日入荷したものがあるんですが、そのジャケットは生地が特殊で肌触りもよくて、伸縮性もあって着心地がいいんですよ。しかも、数量限定で、オンラインでは販売していないんです。私もすごく気に入っていて、実は昨日1着買ったんですよ!そのジャケットがこちらです!』
いかがですか?
ウザくないですか?
さっさとジャケット(結論)出せ、と。
実際に、面接でもこのように結論がなかなか出てこない回答をしてしまいがちです。
きっと、伝えたいことや話したいことがあるんでしょう。
あるいは、自分にとって大切な志望動機の魅力が誤解を受けたり、
正しく伝わらなかったらどうしようかと、不安なのかもしれません。
しかし、面接官は質問を投げかけている以上、
その質問に対する〈答え〉を欲しがっています。
相手が欲しがっているものをまず差し出すのが
面接での円滑なコミュニケーションには不可欠です。
そこで、先ほどのジャケットの例について、話す順番を変えてみます。
『はい、お求めのジャケットはコチラです。実はこのジャケットは昨日入荷したんですが、生地が特殊で肌触りもよくて、伸縮性もあって着心地がいいんですよ。しかも、数量限定で、オンラインでは販売していないんです。私もすごく気に入っていて、実は昨日1着買ったんですよ!』
いかがでしょうか。
服を選ぶときは一人で選びたいという人もいるかとは思いますが、
客観的に聞いてみると、やはり後者の例の方が圧倒的にわかりやすいですし、
その商品の魅力の説明も耳に入ってきて、購買意欲もわきます。
結論から話すことで、
面接官は「なぜそう(結論)思ったのか?」という心理になり、
結論の後の説明を積極的に聞こう、という姿勢になります。
つまり、自分が伝えたいことから話し始めるのではなく、
”面接官が知りたいこと”から話す。
言い換えると、質問に対する”結論”を先に話すことで、
本当にあなたが伝えたいことを聞いてもらえる受け皿が面接官の中につくられるんですね。
また〈論理性〉として、最低限押さえておいていただきたいのが〈根拠の説明〉です。
結論がある以上、そこに至るプロセスや理由が必ずあるはずです。
志望動機を例にとって説明します。
結 論:〇〇市の市民に寄り添う姿勢に共感したので志望しました。
理由①:役所を訪れたときに、職員の方の案内が丁寧で説明もわかりやすい。
理由②:■■という施策は、市民からの声をもとに実現した。
実際に面接で志望動機を聞かれた際には、まず結論を話し
その次に理由を話すことで説得力が増す。
ここはあまり意識しなくても、結論から話すことを意識していれば、
理由の説明が漏れることはないかと思います。
また、仮に理由の部分の説明が漏れてしまったとしても
多くの場合、深掘り質問で聞き返してくれます。
しかし、〈結論①+結論②〉で回答してしまう方がいます。
これは結論に説得力を持たせられないばかりか、
深掘り質問の対象からどちらかが外れてしまい、
結果的に伝えたいことの半分しか伝わらないことがあります。
このように志望理由の要素が2つある場合は、
次のように順番に話すといいでしょう。
〈結論①+理由①。また、結論②+理由②〉
このときの注意点としては、話が長くなりすぎないことです。
回答時間が1分を超えないように、説明する内容は要点を絞るようにしてください。
3-2.表現力
次に説明力を構成するもう一つの要素が表現力です。
語彙力と重なる部分もありますが、言語的要素だけでなく、
〈聴覚的要素〉と〈視覚的要素〉を含むのが特徴です。
表現力はあなたの話す内容をサポートしたり、補強したりしてくれる
オプションのようなものと理解してください。
なければNGというよりは、あった方がいいよね、というものです。
まず〈視覚的要素〉について説明します。
面接で印象に影響する視覚的要素は
〈ジェスチャー〉、〈姿勢〉、〈表情〉の主に3つです。
3-2-① ジェスチャー(視覚的要素)の使い方
ジェスチャー(身振り手振り)は言葉だけでは伝わらない内容を
補足するように使うことが面接では有効です。
例えば自己PRで
「私の強みは提案力です。現職についた頃は、営業成績が良い方ではありませんでした。しかし、お客様の立場になって求めているものを想像し提案することで、これまで以上に”満足度が上がり”、結果的に成績にもつながりました。」
と話したとします。
”満足度が上がり”と言う時に、片手を胸の位置から顔の高さまで上げる動作を加えると、
その〈幅〉を分かりやすく表現することができます。
このようにジェスチャーを使うことで言葉だけでは伝わりづらい
幅や奥行、大きさなどの程度を伝えることができます。
ただし、ジェスチャーはあまり大げさにすると、かえって不自然ですので、
手を動かす範囲は高さで言うと〈腰から上、頭の先までの範囲〉、
幅で言うと〈最大でも両肘が軽く曲がったあたりまでの範囲〉が適切。
この範囲を超えたジェスチャーは話す内容を補足するどころか、
〈大げさ〉〈ウソっぽい〉と言った印象を与えてしまいます。
慣れない場合はムリに使う必要はありません。
3-2-② 姿勢(視覚的要素)の使い方
次に〈姿勢〉ですが、これは体全体の姿勢のことです。
椅子の座り方に関しては様々な方が詳しく解説しているのでここでは割愛します。
しかし、このお決まりの姿勢をあえて崩すことで、
相手に与える印象をコントロールすることができます。
例えば、志望動機や自己PRなど、積極的にアピールすべきシーンにおいて、
少し〈前かがみ〉になると熱意や意欲の高さを印象付けることができます。
例えば、カフェで友人と話しているシーンをイメージしてみてください。
友人が相談話を始めました。
それと同時に、友人はやや前のめりの姿勢になった。
どのように感じますか?
「何かを伝えようとしてる」
「真剣な話をしようとしている」
このような印象を受けますよね。
また、そうした友人の姿勢を感じ取って、
あなた自身も友人の言葉を聞き逃すまいと耳を傾けます。
つまり”伝えよう”、”伝えたい”と強く思う時に、
あなたの姿勢は自然と前のめりになり、
聞き手もこれに無意識に反応し、
集中してあなたの言葉をキャッチしようとします。
この時、人は言葉に反応するよりも前に〈姿勢〉に反応している。
話す内容は同じでも、聞き手の集中力が増します。
この効果によって面接官に〈意欲〉や〈真剣さ〉を感じ取らせることができます。
ただ、これを面接本番で意識するのは至難の業です。
ただ、これを面接本番で意識するのは至難の業です。
ですので、姿勢を変化させようとするのではなく、
〈肩の力を抜く〉ことで、自分の気持ちが乗った言葉に
自然と体が反応する形で姿勢が変化します。
むやみに”背骨ピーン”を意識してしまうと、
〈地蔵状態〉になり、姿勢がほとんど変化せず、
話している内容を姿勢で強調したり、
補足する効果が得られなくなるので、もったいないないです。
3-2-③ 表情(視覚的要素)の使い方
結論から申し上げますと、表情を意識するのは二の次か、
何なら三の次くらいで十分です。
なぜかというと、意識して作った表情は〈不自然〉だからです。
不自然と言うことは、面接官に
『あ、この受験者はムリに笑顔をつくろうとしているな』
『取り入ろうとしてるな』
と、感づかれているということです。
こうなってしまうと、面接官は無意識にディフェンスの体制をとります。
『笑顔に惑わされないように、話している内容に注目しよう』
『表情をつくっているということは、何か裏があるんじゃないか』
『聞かれたらまずいことでもあるんじゃないか』
と言ったように、受験者が意識して作った表情に対する
その意図や狙いを読み取ろうとします。
つまり、全くの逆効果。
本来、人間の表情が自然と変化する時間は0.2秒程度、
長くても2秒程度と言われています。
これは、普段から人と接する仕事をしている人であれば、
自然と備わっている感覚です。
ましてや面接官はあなたが話す内容や一挙手一投足に注目しています。
そうした集中状態にいる相手に対して、
不自然に長く表情変えてしまうのは〈違和感〉しか与えません。
では、どうしたらいいかと言うと、
表情を気にするよりは、自分が話している内容に集中した方がいい。
例えば『これまでに経験した最も困難に感じたことは?』と聞かれたときに、
「〇〇です。~~という状態で、チームとして意見をまとめなければなりませんでした。そこで、〇〇に取り組み、□□を工夫しました」と、
その過去のシーンを思い出しながら話すと、自然と真剣な表情になります。
そうした真剣さから、
『あ、この人が話していることは本当のことだな』
『真剣に取り組んだんだな』
と言ったような印象を与えることができます。
なぜ、過去のシーンを思い出すと、表情が変化するのでしょうか?
それは、記憶と感情はセットで記憶されてるから。
つまり、表情は意図的に変化させるものではなく、
自分が話している内容に集中して、
当時のシーンを思い出すことで、自然と変化するんですね。
さて一方で、
「私は緊張しがちなので、そもそも話す内容に集中するどころか、緊張してきちんと話せるかどうかもわからず不安です。」という方もいらっしゃるかと思います。
この場合、表情を気にする前に緊張の原因を緩和したり、
場慣れのために模擬面接を受けるなどの対策の方が有効です。
緊張しているところに、表情まで気にするなんて、難易度高過ぎ。
逆立ちしながらご飯を食べるようなもんです。
もちろん、普段から自然に笑顔がこぼれたり、
楽しそうな表情で話すキャラであれば、
こちらも無理に真顔にする必要はありません。
話す内容に応じて、笑顔や明るさの〈度合い〉が変化するはずです。
何にせよ、面接では〈自然体〉に近づけることが表情を活かす絶対的な方法です。
(※ただし、警察官志望の方は除く。終始、真顔が求められます)
3-2.聴覚的要素
さて、ここまで表現力の視覚的要素について、
〈ジェスチャー〉、〈姿勢〉、〈表情〉の3つの観点からポイントを整理しました。
つぎに、表現力のもう一つの要素である
〈聴覚的要素〉について、詳しく見ていきます。
面接の場における聴覚的要素とは〈声のトーン〉や〈抑揚〉です。
こちらも、基本的に表情と同様に、
話している内容について、その時のシーンを思い出すことによって、
自然とトーンがが調整され、抑揚もつきます。
一方で、普段から話すペースやトーンが一本調子な人もいます。
この場合、話している内容に対してトーンが変化しないと、
違和感を持たれてしまいます。
この場合、残念ながら特効薬はありませんが、
対策方法としては2つあります。
一つ目は、”強調したい点”に限って”トーンを上げる”ことです。
例えば、自己PRで「私の強みは〇〇です」と言う時に、
“〇〇”の部分だけ2段階くらい意識的に声の調子を上げてみるのです。
ポイントは、トーンを上げるのは”単語単位”か”フレーズ単位”にすることと、
上げる言葉は1回の回答で1度までとすることです。
2回も3回もトーンを変化させようとすると、
そちらに意識が向いてしまって、話す内容がおろそかになるからです。
また、平坦な調子がベースなので、何度も挙げると不自然さが目立つ。
こうした理由から、挙げるポイントは絞ることをおすすめします。
「2段階だと上げ過ぎではないか?」
と不安に思うかもしれませんが、
1段階だと、客観的に聞いているとほとんど変化が感じられません。
2段階がちょうどです。
一本調子な話し方を改善するもう一つの方法は、
〈ジェスチャー〉で表現を補足する方法です。
先ほど視覚的要素について触れた取り、
ジェスチャーには話している内容を補足する効果が期待できます。
話し方は長い期間で身についたものなので、
今日・明日に急激な変化をもたらすことはできませんが、
身振り手振りは意識的に活用することができます。
是非一度試してみてください。
4.会話力を磨け
さて、ここまで会話力について、その構成要素を元に解説してきました。
多くの人が日常生活で特に問題なく会話していると思いますが、
”面接”という場における会話力を改めて意識することは
面接対策を進めるうえで、基礎となり、様々な回答の質を高める効果があります。
しかしながら、公務員試験の受験に集中すればするほど、
人と会話する機会と言うのは減ってしまいます。
日常会話はノーリスクで会話力を向上させられる唯一の機会です。
机に向かうばかりが試験勉強ではありません。
ぜひ、お休みの日にはリフレッシュを兼ねて人と会い、
これまでの自分の会話を見つめなおしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また別の記事でお会いしましょう。