公務員試験の合否を左右する集団討論。
しかし、その評価は一筋縄ではいかないもの。本記事では、公務員試験の集団討論で落ちる人の共通点を解析し、必要な評価観点を明確にします。落ちる人のパターンを避け、評価観点をしっかり押さえ、あなたの試験対策に活かしましょう。成功の鍵は「グループへの貢献」。集団討論で高評価を得るための具体的な方法と注意点を提供します。
公務員試験に向けた集団討論の真の対策がここにあります。
落ちる人の共通点1(消極的)
集団討論において一番避けるべきは、消極的な態度です。消極的とは具体的に言うと、自分から意見を出さない、周りの意見に無関心など、討論に積極的に参加しない行動を指します。
例えば、討論のテーマに対し、「私には詳しくないので、他の人に任せます」や、「特に意見はありません」といった発言が消極的な態度を示すものです。また、他の参加者が発言をしている際、ただ黙って聞いているだけでなく、適宜反応や共感を示すことが重要です。
これがNGな理由は、消極的な態度は組織の一員として協力的であるという基本的な条件を満たしていないからです。公務員として働く上で、他の職員や市民と協調しながら業務を遂行する能力は必須です。また、集団討論は各個人の意見を聞き、多角的な視点で問題を考えることを目指しています。そのため、自身の意見を積極的に発信することが求められます。さらに、他者の意見に対して消極的な態度をとると、グループ全体の討論が深まらず、問題解決に繋がらない可能性があります。
討論は自分の意見を発表し、他の人の意見を聞き、それぞれの意見から最善の解決策を見つけるプロセスです。そのため、全員が積極的に参加し、自身の意見を発信し、他者の意見に耳を傾けることが重要となります。
落ちる人の共通点2(流れが読めない)
次に、集団討論で評価されるのが、「流れを読む」能力です。これに欠けている受験生は、討論の進行に合わせて自己の発言を調整できず、時には話題の流れに逆らってしまうことがあります。
例えば、全員が地域振興策の具体的なアイデアを出し合っている最中に、突然、「地域振興が本当に必要なのか?」といった根本的な問題に話を戻すような発言をします。または、他のメンバーがすでに合意した点について、改めて議論を始めるような行動も、流れが読めていないとされます。
これがNGなのは、一つは討論の進行を阻害し、時間のロスにつながるからです。集団討論は限られた時間内に問題を討議し、解決策を見つけ出すためのものです。そのため、話題の流れを逆行するような行動は、討論を停滞させ、成果を出すことを妨げます。
二つ目は、流れが読めないことが、他者と協調しながら作業を進行する能力が不足していることを示すからです。公務員は多くの場合、チームでの作業が求められます。その際に、他者の意見や議論の流れを理解し、それに適した発言や行動をとることが求められます。
以上から、討論の流れを読むことは、討論を効果的に進行させ、グループ作業の成功に繋がる重要な要素となるのです。
落ちる人の共通点3(役職にこだわる)
集団討論では、司会、書記、タイムキーパーといった役職があります。役職につくことは、自己をアピールする良い機会ではありますが、役職にこだわり過ぎてしまうと、自分の視野が狭まり、協調性を欠いた行動を取ってしまう可能性があります。
例えば、司会を引き受けることで、議論をまとめたり、意見を誘導したりする役割を全うしたいと考える受験生もいます。しかし、自己の意見を強く押し通すために、他の参加者の意見を無視したり、議論を一方的に進めたりする発言をしてしまうことがあります。
また、タイムキーパーに立候補するものの、何が求められているのか理解せず、話題が脱線していく中で時間管理に専念し、討論自体に参加しないという状況も見られます。
これらの行動がNGなのは、役職にこだわるあまり、他者の意見を尊重しない、または討論そのものから遠ざかってしまうため、集団討論の本来の目的である「多角的な視点からの討論を通じた最良の解決策の導出」から離れてしまうからです。
役職はあくまで議論を円滑に進行させるための道具であり、それ自体が目的ではありません。自身の役職に固執するのではなく、全員で最良の解答を見つけるためにどう協力すべきかを考え、行動することが求められます。
集団討論とはそもそも何か
公務員試験の一部である集団討論は、具体的には「会議」や「チームでの仕事」の疑似体験と言えます。これは日常の公務員の職務を模したものであり、その役職に就いたときに適切に業務を遂行する能力を試す重要なプロセスとなっています。
多くの公務員業務では、様々な背景を持つ同僚や他部署、そして時には市民とも協働しなければなりません。それぞれの意見を尊重しつつ、一方で問題解決に向けて全体をまとめていくリーダーシップも求められます。
具体的には、与えられたテーマに対して5-6人の受験生が一緒になって討論します。この討論では、各々が自分の意見を述べるだけでなく、他者の意見を尊重し、それをもとに全体の結論を導くことが求められます。
集団討論では、あなたの思考力、表現力だけでなく、他者と協働するための社会性や貢献性、そして全体を引っ張っていく指導性も評価されます。これらは全て、公務員として必要とされる能力であり、そのために集団討論という形式が設けられているのです。
集団討論の評価観点1(社会性)
集団討論での評価観点の一つ、社会性は、他者との協調性や共感性を評価します。つまり、他者の意見を尊重し、その上で自身の意見を発表し、討論を円滑に進行することが評価されます。
例えば、あるグループでは「公園の改善」が討論のテーマとなったとします。その中で一人のメンバーが「公園の遊具を増やすべきだ」と提案しました。これに対し、あなたが
確かに子供達にとって遊ぶ場所を増やすのは良い考えだと思います。ただ、公園を利用するのは子供たち意外にもいらっしゃると思います。高齢者の方々も公園を利用しているので、ベンチの数を増やしたり、散歩道を整備するといった方針も考えてみてはいかがでしょうか?
と述べた場合、これは良い社会性の示し方となります。
ここでのポイントは、他者の意見を尊重し、その上で新たな視点や提案を導き出している点です。他者の意見を一方的に否定するのではなく、それを基に全体の議論を深めることが重要です。また、自身の意見がグループの方向性と異なる場合でも、それを適切なタイミングと方法で発表することが求められます。これが集団討論における「社会性」の評価観点となります。
集団討論の評価観点2(貢献性)
集団討論における評価観点の一つである「貢献性」は、討論の過程や結論をより良いものにするためにどれだけ自己の力を尽くすかという指標です。つまり、新たな視点の提供、有益な情報の提出、または他者の意見の組み合わせによるより良い解決策の提示など、討論全体の質を高める行動が評価されます。
具体的な例を考えてみましょう。集団討論のテーマが「地元の公共交通の改善」だとしましょう。ある参加者が「もっとバス停を増やすべきだ」と発言したとします。ここであなたが、
それは一理ありますね。ただ、バス停を増やすことで運行コストが増える可能性もあると思います。そこで、バス停を増やすのではなく、現在のバス停の位置を見直し、より多くの人々が利用しやすい場所に移動させるという方法はどうでしょうか?
と提案した場合、これは討論の過程や結論をより良いものにしようとする「貢献性」の高い発言と評価されます。
ここで大切なのは、ただ自身の意見を述べるだけでなく、他者の意見や討論の進行をふまえて、全体の議論をより良い方向へ導く視点や提案を出すことです。その際、自身の意見が必ずしも正しいとは限らないという自覚も必要です。自身の意見を一方的に押し付けるのではなく、それが議論を進展させるための一つの選択肢であるという態度が求められます。
集団討論の評価観点3(指導性)
指導性とは、討論の方向性を示したり、メンバー間の意見が割れたときに調整役となるなど、グループ全体をうまくリードする能力のことを指します。これは、リーダーシップや問題解決能力を見る重要な評価指標となります。大切なのは、自分が必ずしもリーダー、つまり司会や書記などの役職につかなくても、自然と人々をリードする姿勢や行動が評価されます。
具体的な例として、集団討論が混乱してきた場合にどのように行動するかを考えてみましょう。話し合いが行き詰まり、全員が静まり返ってしまった場面で、
みんな、ちょっと一旦落ち着いて考え直しましょう。今まで出た意見を整理するために、それぞれの意見のメリットとデメリットを箇条書きにしてみませんか?
と提案するとしましょう。このような行動は、集団全体の調和と進行を心掛け、混乱を冷静に収束させようとする姿勢が評価され、指導性のある行動と見なされます。
指導性を発揮するためには、必ずしも前に出る必要はありません。静かに全体の流れを見守り、必要なときに適切な提案やアドバイスをすることでも、集団の中での指導的な存在感を示すことができます。そのため、リーダーシップとは自己主張や支配力ではなく、周囲を理解し、時には相手を尊重し、全体を最良の方向へ導く能力であることを理解しておきましょう。
グループへの貢献を忘れずに
集団討論の評価観点には様々なものがありますが、その根底にあるのが「グループへの貢献」です。あなたがどのような役職に就くにせよ、どのようなテーマに取り組むにせよ、最も大切なのは自分がグループに何をもたらすか、つまり、どのように貢献するかという視点です。
社会性、貢献性、指導性、これらの評価観点は全てグループに対するあなたの姿勢や行動を評価するもので、その全てがグループへの貢献に繋がっています。自分の意見を押し通すだけでなく、他者の意見を理解し尊重し、全体の調和を保つことで、グループ全体を良い方向に導くことが求められます。
役職に拘るのではなく、どの役職に就いたとしても全体を見渡し、グループのニーズを感じ取り、それに応える行動をとることが大切です。グループ全体が目標に向かって一緒に進むためには、互いの理解と協力が不可欠で、それを促進するのがあなたの役割です。
討論を通じて多様な意見が出される中で、最良の結論を導き出すためには、それぞれの意見を尊重し、集め、そして整理することが求められます。それを可能にするのは、他者を尊重し、全体を見渡し、そして何よりグループに対する貢献の意識です。この意識こそが、評価観点の中で最も重要な要素であり、あなたが公務員試験で成功するためのカギとなるでしょう。
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