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「特別区・保健師に合格」社会人経験者の合格体験記

2025 12/03
合格体験記
2025年12月3日

特別区合格「仕事×子育て×試験対策」

―― 保健師として“正規職員”をつかむまで

公務員試験を目指す社会人経験者のなかには、

  • 「子育てと両立しながら、本当に合格までたどり着けるのか」
  • 「非常勤から正規職員に挑戦したいが、試験の全体像が見えない」

といった不安を抱える方が少なくありません。

今回お話を伺ったAさんは、
看護師として5年勤務したのち、出産と子育てを経て「保健師」として自治体で非常勤勤務を続けてきた方です。

二人のお子さん(5歳・6歳)を育てながら、
特別区の公務員試験(保健師)を受験し、
二度目の受験で見事「第1志望区」での合格をつかみました。

この記事では、

  • 特別区職員を目指した背景
  • 特別区の試験内容と、長期戦になりがちなスケジュール感
  • 「仕事×子育て×試験対策」をどのように両立していったのか

を時系列でたどりながら、
同じように特別区や市区町村の保健師を目指す社会人経験者の方に向けて、
リアルな合格体験記としてお届けします。


目次

看護師から特別区保健師へ

もともと私は、病院で看護師として約5年間勤務していました。
ただ、結婚・出産を経て、夜勤や不規則な勤務を続けながら子育てをしていくことに、現実的な難しさを感じるようになりました。

「このままの働き方で、子どもとの時間も大切にできるだろうか」
そんな疑問が出てきたときに、視野に入ってきたのが「保健師」という働き方でした。

自治体で会計年度任用職員(非常勤保健師)として働き始めてみると、

  • 子育て中の職員が多くいること
  • 子どもの体調不良などにも理解があること
  • 時間単位で休みを取りやすいこと

など、「子育てと両立しながら働ける職場」だと実感しました。

同時に、周りにも子育て中の職員が多く、
「いつかは自分も、正規職員としてこの仕事を続けたい」という思いが、少しずつ強くなっていきました。

特別区の公務員試験(保健師/社会人経験者枠)を意識し始めたのは、こうして自治体で働き始めてからです。
実際に受験したのは今回が2回目で、1回目は人事委員会面接で不合格という結果でした。

「今回で決めたい」
その思いで、二度目の特別区試験に臨みました。


特別区の試験スケジュールは“長期戦”

特別区の保健師採用試験(中途採用)は、長期戦だと思いました。
募集要項を見たとき、まず感じたのは「とにかく長い」ということでした。

  • 3月:エントリーシート提出(自己PR・志望動機など)
  • 4月:専門試験(筆記)
  • 7月上旬:特別区人事委員会による面接(専門職向けプレゼンテーション含む)
  • 8月:区面接(各区が行う最終選考)

特に驚いたのは、エントリーシート提出が3月、
そこから人事委員会面接まで4か月ほど空くスケジュールです。

「こんなに間が空くんだ…」
最初は正直、試験全体のイメージがつかめませんでした。

さらに、令和6年度からの変更として、専門職区分に「5分間のプレゼンテーション」が導入されました。
これまでの仕事では、人前でプレゼンをする経験はほとんどありません。

「何をどこまで話せばいいのか」
「職務経験をどう整理して、プレゼン資料に落とし込めばいいのか」

不安の種は、筆記だけでなく面接・プレゼンの部分にもありました。
それでも、エントリーシートの時点で「自己PRや職務経験をどう整理するか」が問われている感覚があり、
この段階からすでに勝負は始まっていると感じていました。


筆記試験対策

“ゼロから”ではなく“これまでの積み上げ”を活かした

筆記試験は、保健師としての専門試験です。
一度目の受験で形式や雰囲気は経験していたので、二度目は「ゼロから」ではなく「積み上げ」を活かす形で臨みました。

勉強を意識して始めたのは1月頃です。

  • 1月〜2月:平日30分ほど、少しずつ問題演習
  • 3月:エントリーシートに集中(筆記は維持程度)
  • 4月:エントリー提出後に、勉強時間を30分+αに増やす
  • 休日:まとまった時間をもらって集中的に取り組む

というペースで、無理なく続けました。

使った教材は、

  • 保健師国家試験のときに使っていた「レビューブック」
  • 特別区保健師の専門試験の過去問(10年分)

が中心です。

特別区の専門試験は「穴埋め式」なので、
なんとなくの理解ではなく、用語や制度をきちんと説明できるレベルまで整理しておく必要があると感じていました。

過去問については、東京都の人材支援センター(飯田橋)まで足を運び、
保健師採用試験の問題を10年分コピーして繰り返し解きました。

ホームページには直近3年分しか載っていないので、
センターで古い年度の問題をコピーし、答えが載っていないものは自分で調べながら埋めていきました。

その作業のおかげで、

  • 計算問題は毎年1題は出ていること
  • 令和に入ってから出題傾向が少し変わっていること

など、傾向も見えてきました。

自己採点では、半分以上は正答できている感覚があり、
「一次試験は大丈夫そうだ」と思えるくらいの手応えはありました。


面接準備は「11月からのやり直し」

私が一番不安を感じていたのは、筆記よりも「面接」でした。

一度目の受験で人事委員会面接に落ちていたこともあり、

  • 自分の考えを簡潔に話すのが得意ではないこと
  • 社会人経験をどのように整理し、どうアピールすればよいか分からないこと

が、大きな課題でした。

二度目の受験では、同じ失敗を繰り返したくありませんでした。
そこで動き始めたのが、前年の11月です。

「面接 公務員試験 社会人経験者」
そんなキーワードで検索していて見つけたのが、「公務員面接の突破校」のYouTubeでした。

社会人経験者向けの面接対策に特化していること、
そして「一人ではなく、第三者の視点が必要だ」と感じていたこともあり、
まずはセミナーに参加し、その流れで個別指導もお願いしました。

そこからは、

  • 回答シートに沿って、自己PR・志望動機・職務経験を書き出す
  • 質問ごとの「意図」を知ったうえで、回答の骨組みをつくる
  • 筆記試験が終わってからは、「話す練習」に比重を移していく

という順番で、少しずつ面接に向けた準備を積み上げていきました。


人事委員会面接

時間指定の質問と「まさかここで?」のテーマ

7月上旬、人事委員会面接の当日。
会場はロイヤルパークホテルの一室でした。

面接官は3人(女性2人、男性1人)。
40分間の面接は、3月に提出したエントリーシートをもとに、
自己PRや職務経験について深掘りされる形で進んでいきました。

私のブースでは、

「この質問には〇分以内で回答してください」

といった時間指定の質問が多く、
より一層「簡潔にまとめて話す力」が問われていると感じました。

雰囲気は、決して和やかではありませんでした。
笑顔が多いというよりは、淡々と質問が続く印象です。

緊張していたこともあり、
質問を聞き逃したくなくて、3回ほど「もう一度お願いできますか」と聞き直してしまいました。

そのたびに、面接官の方からは

「大丈夫ですよ」

と穏やかに返していただけましたが、
自分の中では「これは落ちたかもしれない」という感覚が強く残りました。

印象に残っている質問のひとつが、

「カスタマーハラスメントとは何ですか?」

という問いでした。

「まさかここで聞かれるとは…」という気持ちでしたが、
事前にニュースや解説メールで目にしていたこともあり、
何とか自分の言葉で説明することができました。

プレゼンテーションは面接の後半に行われました。
練習してきた流れを意識しながら、5分間を使って話し切ることができたと思います。

プレゼンのあとに聞かれたのは、

  • 回答作りで意識した点
  • 内容について、職場の上司などに確認したかどうか

といった質問でした。

それでも面接を終えた直後の感覚は、

「落ちたかもしれない」

の一言に尽きます。
だからこそ、合格通知を見たときは、本当に驚きました。


第1志望区での面接

「職場で話すように」というスイッチ

人事委員会面接を通過したあとは、各区ごとの「区面接」があります。
私は複数の区を受けましたが、第1志望区から内定をいただくことができました。

第1志望区を選んだ理由は、とても現実的なものです。

  • 自宅からの通勤時間が一番短い
  • 乗り換え回数が少なく、子育てとの両立がしやすい

長く続けていく仕事だからこそ、日々の通勤負担は軽くしておきたいと考えていました。

区面接の雰囲気は、人事委員会面接とは対照的でした。

入室前から面接官の笑い声が聞こえ、
実際の面接中も終始なごやかな空気で進んでいきました。

想定外の質問はほとんどなく、
準備してきた内容を、自分の言葉で落ち着いて話すことができたと思います。

その背景には、直前の模擬面接でかけてもらった、ある一言がありました。

「職場で話すときのようなトーンで受けて大丈夫ですよ」

「どんな面接官が来るか」は選べませんが、
「自分がどんなテンション・トーンで話すか」は、自分で選べます。

そのことに気づいてからは、
「自分はこういうスタイルで話そう」と決めて本番に臨めるようになりました。

面接を終えたあとは、

「大丈夫かもしれない。でも、もし落ちていたらどうしよう」

という不安と期待が混ざった気持ちでしたが、
第1志望区から内定の連絡をいただいたときには、心からホッとしました。


仕事×子育て×試験対策

“1時間の静かな朝”をどうつくったか

今回の受験で一番悩んだのは、やはり「時間の確保」でした。

もともとの平日のタイムスケジュールは、ほぼ隙間がありません。

  • 6:00 起床、子どもの支度・朝食の準備
  • 7:30 保育園に送る → 出勤
  • 8:30〜17:00 会計年度任用職員として勤務
  • 17:00 退勤 → お迎え → 帰宅
  • 夕方〜21:30 夕食・入浴・片付け・寝かしつけ

21時半にようやく寝かしつけが終わるころには、

「やっと一日が終わった…」

という感覚でした。

最初は、「寝かしつけのあとに勉強しよう」と思っていました。
でも現実には、自分も一緒に眠ってしまう日が多く、
机に向かう気力が残っていませんでした。

そこで発想を変えて、

「夜に頑張るのではなく、朝に切り替えたほうがいいのでは?」

と考えるようになりました。

受験準備を本格化させるタイミングで、
起床時間を1時間早めて「5時起き」に変更しました。

  • 5:00〜6:00 子どもが起きてくる前の“静かな1時間”を勉強時間に
  • 夜はこれまでどおり21:30〜22:00に就寝し、睡眠時間は確保

というリズムに変えたところ、
自分にとって一番集中しやすい時間帯になりました。

「朝は“◯時までにここまでやる”と区切れるので、
迷わず集中しやすかったです。
睡眠時間も確保できていたので、体力的な負担も思ったほど大きくはありませんでした。」

さらに4月からは、職場にお願いをして「週5勤務 → 週4勤務」に変更してもらいました。
その分、休日の午前中や午後に、ご主人が子どもたちを外に連れ出してくれて、
私は家でまとまった勉強時間を確保しました。

「受験することには賛成してくれていて、『行っておいで』と送り出してもらえたのは本当にありがたかったです。
一方で、連日お願いするのは負担をかけているな…という申し訳なさもありました。」

子どもたちもまた、さりげなく支えてくれました。

「勉強していると『ママ何してるの?』と聞いてきて、『試験勉強だよ』と答えると、
当日には『頑張ってね』と言ってくれました。
その一言が、力になりました。」

2〜3時間まとめて勉強することは難しくても、
「朝の1時間」「休日の数時間」といった形で、
少しずつ“試験対策のスペース”を作っていった感覚です。


回答が整い、気持ちが追いついたとき

「受かる流れ」は回答→マインドの順で生まれた

振り返ってみると、今回の受験で自分の中の空気が変わったのは、
エントリーシートとプレゼン資料を出し終えた4月前後だったように思います。

それまでは、

  • 「この進め方で大丈夫なのか」
  • 「また面接で落ちてしまうのではないか」

という不安が大きく、
どこか「守り」の気持ちで準備をしていました。

ただ、回答作りやプレゼンの材料を整理していく中で、

  • 自分の社会人経験が、どう保健師としての強みに変わるのか
  • 一つひとつの経験から、どんな学びを得てきたのか

が、少しずつ言葉になっていきました。

「経験の期間が短いものもありましたが、
それぞれの職場で学んだことを整理していくと、
『自分にも伝えられることがある』と感じられるようになりました。」

そのころ受けた模擬面接では、自分でも分かるくらい、
話すときのトーンや表情が変わってきていました。

  • それまでは「どうしよう」という不安が前面に出ていた
  • 4〜5月頃には「ここまで準備してきたから、これで行こう」という気持ちに変わっていた

回答の内容が整ってきたことで、
それに気持ちが追いついてきたのだと思います。

合格通知を見たとき、最初に出てきたのは「嬉しい」よりも、

「正規職員になれるんだ」という安心感

でした。
ずっと目指してきた形にたどり着けたことで、家族も一緒になって喜んでくれました。


あとがき(講師コメント)

「全部きれいに整える」のではなく、“整える時間”を確保する

社会人経験者、とくに子育て中の方の公務員試験では、
「計画どおりに進まないこと」が前提になります。

  • 仕事の繁忙
  • 子どもの体調不良
  • 家族の予定の変化

こうした出来事は、誰にとっても避けられません。

今回のAさんの特別区合格(保健師・中途採用)は、
決して「すべてを完璧にこなした結果」ではありません。

  • 一度目の受験で面接不合格を経験していること
  • 平日の中で勉強に使える時間が限られていたこと
  • 家族への負担を気にしながら、休日に時間をもらっていたこと

そのうえで、

  • 朝の1時間を試験対策に充てる
  • 週4勤務という形で、準備のためのスペースをつくる
  • 回答(構造)を先につくり、その後にマインドが追いつく流れを意識する

という「余地づくり」を重ねていったことが、
最終的な合格につながったのだと感じています。

公務員試験(特別区・市区町村・保健師・中途採用)の面接は、
「頑張った人」が受かる試験ではありません。

  • 限られた時間の中で、どこにエネルギーを割くか
  • どの順番で、何を整えていくか

この「準備の設計」が、合否を分けます。

もし今この記事を読んでいるあなたが、

  • 子育てや仕事と両立しながら特別区を目指している
  • 面接対策の「順番」と「重点」をどう置けば良いか分からない
  • 自分の経験をどう保健師としての強みに変えれば良いか迷っている

という状態であれば、一度「第三者の視点」を取り入れてみることをおすすめします。


受講相談|特別区・保健師を目指す社会人経験者の方へ

公務員面接の突破校では、
特別区・自治体保健師を志望する社会人経験者の方向けに、
個別の受講相談(オンライン) を実施しています。

受講相談でお話しすること(例)

  • 特別区・保健師など、志望先に応じた試験スケジュールの整理
  • 現在の対策が、合格者の水準・方向性に沿っているかどうかの確認
  • 「いつまでに何を整えるべきか」という大まかなロードマップの共有

※具体的な指導内容・カリキュラムについても、ご希望に応じてご案内します。

対象となる方

  • 特別区や市区町村の保健師として働きたい社会人経験者の方
  • 非常勤・会計年度任用職員から正規職員を目指している方
  • 子育てや現職と両立しながら、公務員試験の合格を目指す方

実施概要

  • 形式:Zoomによるオンライン面談(約30分)
  • 費用:無料(初回)
  • 担当:公務員面接の突破校 代表講師 山戸

限られた時間を「どこに使うか」で、結果は大きく変わります。
一人で抱え込む前に、一度、現在地と進み方を一緒に整理してみませんか。

👉 無料で相談して、自分に合った対策を立てる

ブックマークして、後で動画をチェックする

合格体験記
プレゼンテーション 中途採用 個別指導 公務員試験 特別区 社会人経験者 面接対策

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  • 【公務員試験】合否の分岐点──受かる人と落ちる人「行動原理の違い3選」

この記事を書いた人

山戸 宏晃のアバター 山戸 宏晃

■公務員面接の講師/元市職員
 ○最終面接の合格率は93%
 ○年間100回を超える社会人の面接指導
 ○政令市、東京都特別区など豊富な指導経験
自身も公務員試験の面接で逆転合格を果たし、民間企業からの転職を成功させた。
職員となってからも常に新たな挑戦を続け、施策提案では市長賞の獲得を成し遂げた。さらに、参加者126名・27分間のプレゼンテーションや、大規模な給付金制度の運営体制構築という実績を持つ。
「現場での実践」と「実務知識」を根底に持った、具体的な指導により、圧倒的な受講満足度を誇る。

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